太陽も十分に上がった昼11時過ぎ、名前がない音が僕を起こした。
そいつを始めて聞いたのは大学に入って、
つまり福岡の田舎から沖縄に出てきた時で、
それから沖縄にいる時はよく耳にする。
不快かと聞かれれば不快だが、
別段気に留めないのは、
これが当たり前のように周りのみんなが過ごしているからで、
逆に気にして躍起になっている人を見ると、
それを嫌煙してしまう自分がいる。
ただ、
この名前がない音は不思議な力を持っていて、
それはまるで僕たちは、僕は、
自分の力ではどうにもできないほど巨大な何かに支配されているのを感じさせる力で。
たまにそいつは
自分の無力さを突きつけてもくる。
そうやって少しずつ自らをすり減らしていく。
この名前がない音について
あなたに伝えたいのだが、
もしあなたが聞いたことがないなら
僕はそれを伝えたくても伝えられない。
名前がないから。
もしかしたら、
僕が知らないだけかもしれないけど、
僕には言語化できない。
そんな日には甘いものを食べよう。